乳幼児事故の年次推移

はてなブックマーク - マンナンライフ事件は事故なんかじゃない - 虚構組曲
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/tragedy/20090306/p1
のブクマコメに反応*1
上記ページには、以下のようなコメントがあるんだけども、

最近のお年寄りには「年の功」はありません。


「おばあちゃんの知恵」を引き継いでいない世代が、おばあちゃんになりはじめているんだろうね。


日本人の理解力ここまで落ち込んでいるのかと思ってがっくり来た。一億総痴呆化ってのはあながち間違いじゃないね


最近、教育足りてない事件が多すぎる

いや、別に最近多いわけじゃないでしょ、とおもって軽く調べてみた。
指導者用「乳幼児の事故防止教育ハンドブック」 東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/shussan/nyuyoji/jiko_kyouiku/index.html
の、「第二章 乳幼児事故の現状」から、

0歳は出産に伴う異常などにより多くの子どもが死亡しており不慮の事故は第5位であるものの、1〜4歳、5〜9歳の小児期では不慮の事故が第1位を占めている

0歳では平成元年には事故による死亡率は出生10万当たり31.8であったが、平成14年は13.5となり、この15年の間に平成元年の42.5%に減少している。
1〜4歳では平成元年には人口10万対14.7であったが平成14年には5.0となり、平成元年の34.0%と3分の1になっている。
5〜9歳では平成元年には人口10万対7.5であったが平成14年には3.7となり、平成元年の49.3%に減少している。
事故による死亡率をみるかぎりこの15年間に2分の1以下に減少しており、事故による死亡率はよい方向に進んでいる。

とのこと。
厚生労働省のサイトからいくつか統計を見てみたけど、上のまとめで十分な気がする。事故死は歴然と減っており、つまり、「最近の年寄り」に知恵がないと考える根拠も、日本人の理解力とやらが落ち込んでいる根拠も特に見あたらない。


まあ調べる、といいつつ、自分がしたのは「乳幼児 事故 統計」といったキーワードで検索して、いくつかのpdfを眺めただけであって、「調べた」というほどのものではない。
のだけど、わざわざこんなことを書いたのは、そもそもの認識がおかしいのではないか、と思ったためだ。


まず、幼児の死因としては、不慮の事故が一番多いのだ、ということ。
そこから、恐らくは、ここで世代論を持ち出した人々が知らなかっただけで、「防げたはずの事故」は毎年数百件発生しているだろう、ということ。


そういった認識がないので、ただ一件をもって「最近の老人は〜」といった暴論に飛躍してしまうのではないだろうか。


様々な「最近の○○」が叩かれる時に、同じような発想の言葉を見るんだけども、そのときに描かれる「過去の○○」は虚像であることが多い。虚像と比べて叩かれたのではかなわんなぁ、とおもう。

*1:該当エントリ自体はプライベートモードになっているが、ここではブクマコメにのみ反応している