「女性専用車両に男性が乗っていました」について
女性専用車両に男性が乗っていました
に関して、アレコレ思ったこと。
違うグループに入れられたようだ
どうも自分は、「マスクの男性は何も悪い子とをしていないのに、怖がる増田がおかしい」とか、「女性ないし女性専用車両自体に敵意を持っている」という主張を持っている、と見られたようだ。
これは非常に残念というか、そんな風には考えていない。
問題意識
端的に言えば、自分の問題意識はウェブ上の情報に対するリテラシーの問題のみだ。
そして、その対象は元増田や、そのエントリではなく。
ウェブ上の、限られた情報から断言する行為に向けてのものだ。
元増田が意図的に嘘をついている、と思ったわけではないし、元増田が勘違いをしている、と主張しているわけでもない。あくまで、元のエントリだけを見ても、マスク男に悪意があったとは断定できない、ということだ。
つまり、元エントリだけで判断するなら、
「風邪を引いて朦朧としていた結果、アナウンスや増田の指摘を聞き損ねた」
「肩を叩かれた際に頷いたのは、内容は聞こえないがとりあえず頷いたものだ。駅員がより大きな声で直接的な接触を行なったため、そこで初めて気づいた」
という可能性は、ないとは言い切れない、ということだ。
元増田が早とちりをしたという話ではない。というか、元増田に対して何か主張するつもりはない。
ウェブ上の情報、エントリに書かれた情報だけでは判断できない部分がある、ということで、だから同じように「マスクをしていたのだから風邪に違いない」とか、「マスク男に悪意はなかった」と断定することはできない。そして、そちらのほうが、悪意があると判断するより無理がある、と言われれば賛同する。断定するのと、「どちらかといえば、こちらが可能性が高い」と言うのは、自分にとってはまったく別のことだ。
やりとりの中で
そういう問題意識を持って、
「女性専用車両に男性が乗っていました」が気に入らない理由はなんですか? - わたしはパパの嫁になりたい。にコメントしたのだけど、その中のやりとりで困ってしまった。
あなたがしたいことは何ですか?
単にオンナが騒がなくなれば満足ですか?原因から目を背けたいあまりに
弱者に八つ当たりして思考停止していませんか?
自分にはid:koisuru_otoutoが、どうしてそう問いかけてくるのか理解できなかったからだ。僕はあくまで、エントリの限られた情報で判断することの問題を提示したつもりだった。
また、そのやりとりについたid:feather_angelのブコメにも困惑した。
「米欄のid:WinterMute氏はご自身が「元エントリからでは断言できない事を断言している」事にお気づきか?それが断言でないというならブ米も断言ではないのでは?」
それは悪魔の証明を求めている、ということなのだろうか?*1 それとも、「風邪のせいで朦朧とした人間は、絶対にそのようなことをしない」という確信があるのだろうか。そういう話ではなさそうだ。
配役
そんなわけで、もしかして、これは何かステージが違う話なのかな、と思い始めた。
違和感を抱えつつ考えているときに、ふと、やりとりを以下のような配役に落とし込んでみたら、ストン、と納得がいった。
自分:怪しい男がいるので助けてください。
駅員:どのような人物ですか?
自分:女性用車両に乗っており、マスクをして、アナウンスにも反応しません。
駅員:それは風邪かもしれないから放っておきましょう。
自分:でも、肩を叩いて声をかけたら頷いたのに移動しません。
駅員:もしかしたら聞こえてないけど頷いたのかもしれませんよ。
自分が、このような事態を容認する主張をしている、と受け取られているなら、先ほどの問いかけも当然のことだ。
警官に入れ替えれば、容易に桶川のストーカー事件を想起させる。
職務であれ、あるいは通りすがりであれ、その場の当事者であれば、話はまったく変わってくる。その場でやりとりができる、確認できるというのと、ウェブ上に存在する情報を解釈することは、まったく別の話だ。
怖かったこと
実を言うと、一連のやりとりが、僕は怖かった。
対話ができない恐怖、理解できない恐怖があった。自分でも情けないとは思うんだけども。相手の論理が理解できないという感触は、ホントに怖かった。
最初は、自分が男性なので、女性の“感覚”への理解が足りないのか、無自覚に男性側を擁護しているのか、とも考えたのだが、自問してもしっくりこず、それも怖かった。
けど、「こういう筋道ならわかる」と、上記の想定を思いついたら、それで怖くなくなった。「その論理を“現実”に持ち込まれては困る」という論理で批難されているのなら、理解ができるからだ。もちろん、こちらの一方的な想像に過ぎず、的はずれな話なのかもしれないが、ひとまず恐怖からは解放された。
想定する場とリテラシー
今回の、自分の懐疑的な態度は、あくまで、「ウェブ上に存在する匿名のエントリをどう受け止めるか」というステージでのもの、のつもりだった。
たとえば、情報をそぎ取られたニュース記事に接して安易に被害者を叩くような、あるいは不正確な情報での煽りに簡単に乗ってFAXを送ってしまうような、そういう層へのカウンターとしての問題意識だ。
発想が実際の場面に波及する可能性は、正直に言うと考えていなかった。それは、自分にとってはまったく別のレイヤーの話だからだ。それについて、考えが足りない、と言われれば、認めるしかない。「エントリの情報が不十分である」という主張が、当事者である場においても、同様の主張を生み出す意図、あるいは効果を持っていると判断されたのだとすると、投げられたコメントにも納得がいく。